日本看護研究学会第33回
近畿・北陸地方会学術集会

教育講演関連書類


教育講演題目: 日本の古代文字から看護の使命を読み解く

講演日時: 2020年3月21日 (土)  10:10 ~ 11:10

講師名: 橋本ルミ (Rumi Hashimoto MSN, RN, HTCP/I)


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私は、絵描き(エカキ)です。「ハシモトルミ」を古代文字に置き換えると、「私の仕事は、目に見えな い大切なものを、見えるように、感じられるように、時には思い出すようにする機会を作ること」だという自分のライフワークの輪郭が見えてきたところです。今回ご紹介する日本の古代文字の思念が放つエネルギーを受け取って生まれるデジタルアートは、私の「エカキ」としての制作活動に多きな影響を与えています。

講演要旨:
私と看護とのつながりの原点を支えてくれた人は、看護学校時代、わけも分からず看護の世界に飛び込んだ生意気な学生を優しく受け止めてくださり、またわけも分からず1年生で看護学校から飛び出そうとしていた私が学校を辞めるのを思いとどまらせてくれた一人の若い先生でした。もう40年くらい前の話になりますが、その先生は、本学術集会長の小山敦代先生です。現在私は、看護の実践現場や学会からは意識的に遠ざかっている身ではありますが、今回小山先生からのお誘いで、本学会の教育講演をさせて頂くことになりました。

お世話になった小山先生のお役に立ちたいという思いから生まれた教育講演の題目が、「日本の古代文字から看護の使命を読み解く」でした。それは、臨床や看護教育の分野で長年看護師として生きてきた 「これまでの仕事」と、絵描き(エカキ)として、目に見えないエネルギーを受け取って絵を描き、同時進行で目に見えない氣と対面しながら癒しの仕事に関わるエネルギー療法を伝える「これからの仕事」を繋げて、看護の本質を考え直す時間を共有できるのではないかと思ったからでした。

数年前、仕事で日本縦断の旅をしていた時、北海道帯広の知人から、古代文字の存在を知らされました。ここでいう「古代」とは千年単位の古代ではなく、今から1万年以上も前の縄文以前の「上古代」と言われる時代です。学校で学んだ日本史では空白の時代でした。しかし、その頃高度な文化を持つ私達日本人の祖先が日本列島に存在していたこと、そして丸と線で構成された四十八の音声符と呼ばれる図象文字を使っていたこと、その図象文字は漢字到来以前のもので日本語のカタカナの原型であると言うことを知りました。そして理屈よりも何よりも、エカキとして一番衝撃を受けたのは、現代の日本語を日本の古代文字に置き換えた図象文字を眺めていると、次々とインスピレーションが湧き、自分でも不思議なくらい自然に、その言葉の持つエネルギーを象徴する絵が生まれたことでした。幸いコンピューターの画面に直接絵を描くデジタルアートの手法を模索していた時期と重なり、その手法を使って古代文字のエネルギーから生まれた絵を描き始めました。デジタルアートは、絵を描いている過程を後で早送りで再生できる機能が付いています。講演では、簡単に古代文字の歴史的背景をお話させていただきますが、講演の焦点は、理屈ではなく、古代文字の放つエネルギーに目を向け、そのエネルギーを受け取って描いたデジタルアートの生まれる過程を動画で見ていただきながら、いくつかの作品の生まれる過程から古代文字の持つエネルギーを感じ取っていただくことです。そして最後にカンゴを古代文字置き換えた時の氣の流れから生まれたデジタルアートを共有することで、エカキとして、看護師として、皆さんと共に、「看護の使命」をもう一度見直す機会になれば光栄です。